「もう終わりにしませんか?」
「古泉…。」
二人きりの部室で
ふいに出た話題。
「何言ってやがる。まだ半分だぞ?」
「い…いえ分かってるんですが…。」
「いいからさっさと手を動かせ。
来週がリミットなんだからな。」
「…はい。」
二人がやっているのは懸賞の宛名書きだった。
SOS団団長、涼宮ハルヒの言い付けである。
彼女いわくパソコンでは心がこもらず運がつかないとの事で、
SOS団一人あたり数百枚のノルマを押し付けられ、手書きを強要されているのだ。
結局彼女が何を欲しているのかはよくわからないままなのだが。
彼女の言うことは基本的に聞かないわけにはいかず、この状況というわけだ。
ちなみに女性陣はハガキの買い出しである。
三人で行く必要があったかどうかは甚だ疑問だが。
残された男性陣は黙々と筆を動かす…が。
手書きというのがとことん苦手な古泉が先に音をあげていた。
「…しかしお前ホントに字が下手くそだな。」
「ええ…たいていパソコン頼みなもので。」
正直あなたにはあまり見られたくないんですが、
と古泉は苦笑する。
それにキョンは特に間を置くことなく。
それはもうさらりと言った。
「俺は好きだがな。お前の字。」
「え…。」
「それからその赤い顔もな。結構好きだぞ?」
「……………。」
古泉は赤くなった顔を更に赤くして下を向いた。
「これ終わったらお前んち泊まるぞ。」
トドメの一言で。
古泉の手はついにボールペンを破壊していた。
その後の作業はかなり早く進んだとか。
end
奇をてらっては見ましたがむやみにやるもんじゃないですね;
男前デレキョンが好きです。